臨床の達人
2021年に書いた記事の再掲載です
患者様から見た腕の良い歯医者と、歯科医師から見た腕の良い歯医者には
認識の相違が少しあります 参考になればとの思いで書いた記事です
1990年代の歯科の専門書籍で、臨床の達人シリーズという本がありました
サラリーマン時代に読み込み、講習会に参加し、時には診療所まで見学に行きました
一人を残し、残念ながら現在は、故人となられましたが、大先輩の方々の教えは
達人先生方の年齢に近づくにつれ、年々身に染みる言葉となっています
特に印象的だったのが
患者様の生活背景と口腔内には、関連性が高いということです
そのためには、
一流の歯科医を目指すのではなく、一流の患者様を多く育てなさいというアドバイスでした
つまり、「人の心を動かす」ということです
これが本当に難しいテーマで、今でも悩みは尽きません (;^_^A
染谷先生からは
「佐々木、これからの歯科医療は、とにかく力のコントロールだよ
どんな立派な治療でも、患者のストレスによる噛みしめには無力となるから」
30年程前にいただいたアドバイスが佐々木の診療のベースとなっています
そんな染谷先生の言葉が書籍にも残っています
クレンチングは、噛みしめのことです 補綴物は歯のかぶせ物のことです
染谷先生の意見に、山本先生の返答は、「今のところ難しいですね」
これは30年前だと、対処療法中心の医療で、生活習慣の改善という
根本的原因の解決療法に
社会や日本国民の感情&情緒が、まだ準備できていない時代だったからです
しかし染谷先生は、これまでの経験を踏まえ、対処療法から生活習慣の改善指導へ変革の時期だと
常々お話されていました
あれから30年、時代が少しづつ、生活習慣の改善を受け入れる
社会や国民感情に変わっていきたと感じています
クレンチング=噛みしめ&補綴物&顎関節症など歯科の多くは
生活習慣の改善で事前に予防ができるということです
そのためには、歯科医の技術などが、一流になることよりも
一人でも多く、一流の患者様を育てることだと思っています
しかしこれは歯科医院経営の面からは、矛盾が生じる問題でもあります
歯科医として人生が、残り20年程となりました
染谷先生の教えを忘れることなく、日々励んでいます。
佐々木